心の病気のお話

ご家族に出来ること

ご家族に出来ること

まずは安心できる場を


お身体の病気の時と同様に、こころの不調な時も一番大事な基本は「安心して休息する」ということです。こころの不調により「食欲が減った」「元気がなくなった」「口数が減った」「趣味のゴルフに興味を示さなくなった」「ため息が多い」「眠れていないようだ」など今までの行動と違ってきます。これらに対して、言葉だけでなくさりげない気遣いなどが、苦しむご本人にとっては安心感を与え、ご家庭でゆっくり憩いの時間をとることができます。病気への発展を防止するだけでなく、回復力を促すこともつながります。

話を聴いてみましょう


ご本人のお話にゆっくり耳を傾けてみましょう。その際に「そんなことはない」など否定せず、まずはご本人が一番言いたいことは何かを理解しようという姿勢が大切です。ただし、ご本人があまり語りたがらない様子が強い時は、無理に聞き出す必要はなく、「話したくなったら」というお気持ちを伝えるとよいでしょう。そっと見守っている、というスタンスがちょうどいいことがあります。

病院を勧めてみましょう


様子を見ていても、本人が以前と違う状態が続くようでしたら、病院にいくことを勧めてみましょう。これもお身体の病気と同様で、早期に対応することにより回復も良好となります。その際に「うつ病」などという言葉を使わずに、「疲れが抜けない状態がずっと続いているのが心配」というお気持ちを伝え、初めての受診には付き添って行けるとなおよろしいでしょう。


原因探しをしない


「なぜ、この人は病気になってしまったのだろう」「自分たちに何か問題があったのか」など、原因が何なのか家族として大変気になるかと思います。実際は様々なことが関与して特定できないことがよくあります。「今できること」を中心に考えるようにしてみましょう。家族の生活の中で、本人がストレスを感じることがあれば、今は取り除いておくということも大切です。

励まさない


このキーワードはご存知の方も多いかもしれません。すでに頑張りすぎて、こころの病になってしまった場合には、励まされることで「もうこれ以上頑張れない」とか「こんなにまわりの人が自分のために気をつかってくれるのに、何もできない自分は情けない」と症状を悪化させてしまうためです。ただ、励ますことが効果的な時期もありますので、その対応の時期については主治医の先生によく相談してください。

無理に特別なことはしないでおく


ご本人の元気がないと、「気分転換をさせよう、旅行でも連れ出そう、パーッと飲み明かそう」など家族で考えることもあるかもしれません。しかし、こころのエネルギーが消耗している状態ですと、普段楽しめることは楽しめず、むしろ疲労感を増し、悪化してしまうこともあります。また、こうした気遣いに応えられない自分に嫌悪感を募らせ、自殺のリスクも高まる場合もあります。ご本人が、楽しみたくなる気持ちが湧いてくるのを待ちましょう。

大きな決断は先延ばしに


「職場でみんなに迷惑をかけている」など自責的な思いから、退職や離婚などについて口にする場合があります。こころの病では、心理的な視野狭窄ということが起きていて、悲観的な発想しか頭に浮かばなく、その道しか残されてないようにとらえてしまうことがあります。自責な気持ちを汲みつつも、「今はまず健康に留意することを最優先しましょう。その問題は、もう少し良くなったら一緒に考えましょう」と説明してみましょう。

受診に付き添いはお勧めです


毎回の受診に付き添う必要はありませんが、一緒に主治医のお話を聞くことで、ご本人のどんな点に気をつけてサポートするといいのか分かることがあります。また主治医に面会しておくことで、ご本人が調子を崩してどうしても通院できないときに、代理で受診して相談することもできます。主治医にとっても家庭での様子をご家族からの客観的な情報が治療の役に立つこともあります。注意していただきたいのは、あくまで「付き添い」ということです。ご本人と主治医の貴重な接点の場ですので、ご家族がしゃべりすぎないようにしましょう。

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